所有とフェミニズムに関するメモ
・女性運動は確かに女性を「女」から解放する働きをしたが、それは女性を「男」へとする運動であって、女性にとっては「男」の役割を担いつつ「女」の役割も期待されるという二重苦を背負わされることになる。
・本来フェミニズムとは女性を「女」という役割から解放(自由にする)、もっというと近代の権力(見えない力線)から革命を起こす学問である。女性を「女」という役割から解放するということができるのであれば、同時に男性を「男」という役割から解放することができるはずである。
・男性が「男」という役割を担わされていることによって現代では様々な問題が起きている、DV、ストーカー、痴漢、性犯罪などの対女性の問題として扱われていたが、パワハラ、うつ、自殺などの男性内部の問題として顕在化してきたといえると思う。ホモソーシャルの内側で「男」という役割の限界がきている。
・このことからミソジニーに陥っているホモソーシャルが、ミサンドリーに陥ったホモソーシャルに変わったところで女性にまた新たな苦しみが訪れるだけである。であるならば、やはり女性は「女」からオり、男性は「男」からオりて、本来の自由を目指すフェミニズムを探求すべきだと思う。
・ただ女性ばかりが動いていたら難しい、いつだって男性はミソジニーに囚われているのだから、男性の側から「男」からオりて自由になる人間が登場しないと難しい。そういう意味で、単なる社会参加としての男性学ではなく哲学として(革命として)の男性学が必要である。そうでないと女性はミサンドリーに陥ってしまう。
・フーコーの言う性的欲望(セクシュアリテ)とは単純に考えると所有欲(コントロール下に置きたい欲望)だと思う。
・生もまた所有の対象である。
・恋愛とは男性が女性を所有しているという欲を満たすと同時女性が男性に自分を所有させるように仕向けることができたとコントロールできたという欲を満たすことができたという相互に所有欲が満たされた状態。もちろん逆もある。でも女性は自分がコントロールしているとは思っていないし所有される欲求だと思っているし、権力はそう仕向けている、意識的な人は最近増えてると思うけど、割と古い人の話ね。
・ホモソーシャルにおける所有の対象は女性でなくても良い。だからこそ同性愛嫌悪だけではなくホモソーシャルには嫌悪する対象が所有する対象によって変わる。勝利が所有する対象なのであれば、勝利に向かわない行動は嫌悪する対象である。
・所有欲は代替されるか暴力で満たされるかうつ状態になる。とにかく満たされなくてはならない。でも自由な社会において他者(他社はコントロールできない!)は所有されるべきではない。であれば所有欲がなにかモノで代替されるという状態はそれほど悪い状態ではないのではないだろうか。人が所有されるよりは。うつになるよりは。
・要は男性にとって「男」になるとは何かを「所有」すること。何かをコントロール下に置くこと。
・高齢化社会は「所有」する「男」を社会の中に長く滞在させてしまうことで「所有」できない男性が多く出てくることになった。
・女性の「男」化によって「所有」できない男性が多く出てくることになった。
・時代の変化とともに他者は「所有」できなくなった。
・自由から決して逃走してはならない。
・自由のためには他者を「所有」しない、同時に誰にも「所有」させないことだ。
気付いたこと、学んだことがあれば書き足していきます。
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