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k西ろぐ

ゲーセン通いの日々、うつ病との付き合い、教育、そして酒と漫画とetc

闇に囁くもの

漫画・ゲーム

 クトゥルフ神話TRPG、僕はやったことないのですが、リプレイや実況を見ているとすごく面白そうですね。そんなクトゥルフ神話の原点ともいえるラヴクラフトの小説は大好きなのですが、ここではそんな中でも一番大好きな「闇に囁くもの」についてちょっと紹介したいと思います。ネタバレも含みますが、シナリオ作りの参考とか、ラヴクラフトらしいなぁと思うことを記していきたいと思います。ちなみに私は漫画のプロットとかちょっとした小説作りはしたことがあっても、TRPGのシナリオ作りは経験がないのでその辺は大目に見てください。ただ、面白い表現だなぁと思うところをピックアップしていく内容です。

 ちなみに「闇に囁くもの」が載っているのはラヴクラフト全集1ですね。 

ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))

ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))

 

 物語はラヴクラフトの小説ではお馴染みアーカムミスカトニック大学で文学教師をしつつ民俗学の研究もしているウィルマートがヴァーモント州の森の中を車で逃げるシーンから始まります。

 ラヴクラフトの小説はこういったエピローグから始まることが非常に多いですね、最後にこれだけは記しておこうと思うとか、あんな体験だけはもう絶対にしたくないとかそういった語りから入ることが多いように感じます。

 TRPGというとシナリオがある程度決まっていて、最後どのような結末になるかについてもある程度決まっていると思いますが、その最後をほのめかして始まるということはあまり無いような気がします、物語の収束に向けてプレイヤー達があれこれ考えるのは楽しそうだなぁと思います、もちろん破綻することも含めて。そんな自分語りから始まるシナリオはちょっとラヴクラフトっぽい気がするのですよ。

 さて、物語はヴァーモント州で起きた大洪水を原因として川の中にある異様なものの姿を見つけたという新聞記事をウィルマートが見つけたところから始まります。

 ラヴクラフトの異様な生き物の表現って面白いですよねー、ちょっと引用しますね。

「身の丈が五フィートほどの薄桃色をした生き物で、甲殻類のような胴体に数対の広い背鰭か、もしくは膜のような翼と、何組かの関節肢が付いている上に、本来なら頭のあるところに一種の渦巻形をした楕円体がのっていて、それには多数のきわめて短いアンテナがついていたそうである。」

 ちなみに5フィートは1.5mぐらいなので意外と小柄?後に「狂気の山脈にて」でミ=ゴと呼ばれる生き物ですねー、未完少女ラヴクラフトに出てきたかわいいあいつですね。ふよふよ。 

未完少女ラヴクラフト

未完少女ラヴクラフト

 

  まぁ未完少女ラヴクラフトに関しては別にエントリーするとして・・・。

 生き物の表現がすごいですよねー。このあたりの表現は統一されているのでしょうか?「時間からの影」に出てくる「イースの大いなる種族」とかもすごいです。

 さてさて、この謎の生き物に対する噂話に対して持ち前の民俗学の知識で懐疑的な投書を新聞に投書し大々的に掲載される。いよいよ物語の中盤ですね、エイクリーとの往復書簡が始まります。

 エイクリーはヴァーモント州のダーク山の麓の小屋に住んでいるのですが、この謎の生き物の正体(惑星間に住んでいる生物!)を知っており、証拠として音声を録音したレコードと象形文字が刻まれた黒い石をウィルマートに送り付けてきます、またその生き物の証拠となるような写真もあるので欲しかったら連絡をくれとまで言うんですね。

 もちろんミ=ゴに関する記述というのはものすごく面白いです。エーテルに対して抵抗力を持っている翼で宇宙空間を自由自在に飛べるとかっていう設定はすごく面白いのですが、ここではこの往復書簡のあたえる緊張感について記したいと思います。

 ウィルマートはエイクリーが喜ぶようにはじめはエイクリーの文書について賛同し協力するというような文書を送りますが、事態はだんだんと変わっていきます。エイクリーの周辺では謎の足跡が大量につき、飼っている犬が殺され、往復書簡は謎の人物に邪魔をされ、嘘の電報が届き、挙句謎の生き物との銃撃戦が行われます。

 これらの事態が文書を読むウィルマートという視点で進み、ウィルマートと同様読者も段々とエイクリーの周りに起こる事件に不安が掻き立てられます。

 このあたりの描写が私にとってはものすごく面白かったですね。TRPGでぜひ往復書簡RPGをやってもらいたいぐらいです、お互いか、また片方が自分の状況をほのめかす、または情報の一部しか伝わらないという表現はとてつもない緊張感を生むんだということをここで教わりました。現代設定でいえば、メールやチャットなどの要素を入れた作品などにも応用できそうですね。このあたりの知りえる情報が少なすぎることから伝わる恐怖というのは日本の怪談のようなものにも通じるものがあると思っています。

 さて、書簡は突然急変します、エイクリーが謎の生き物と和解したというのですね、そしてウィルマートにもぜひ自宅に来てほしいと誘います。

 正直このあたりでお話は終わりなのだと思いました。うおー!なんて怖い話なんだ!と思ったのですが、こっから先を描いてしまうのがラヴクラフトの小説なんだなーとも思うんですよね。

 

 ここから先はぜひ読んでみてください。まぁご存知だと思いますが所謂あの有名な脳缶の登場ですね。脳缶という設定自体は非常に面白いからいろいろなシナリオで使われてますよね、脳缶だけで進むシナリオとかもあったような気がします。でも私はラヴクラフトの小説で一番緊張感を生むのがこの書簡形式だと思っています。往復書簡でないにしても、手紙を通じて明かされる真実などに触れるときは感動します。登場人物の恐怖を想像して、読者も恐怖するといった感じでしょうか。TRPGのシナリオも、もし自分が作るとしたら戦闘や実物と出会うことなく、そういった情報に触れていき、背後に恐怖が迫っているのでは?とほのめかすだけで物語が進んでいくようなシナリオを作りたいなぁと思っています。戦闘、探索主体のシナリオも好きですよ、もちろん。

 

 書評・・・難しいですね。でもこんな感じでラヴクラフトの好きな話はまた紹介できればと思います。 

クトゥルフ神話 TRPG (ログインテーブルトークRPGシリーズ)

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クトゥルフ神話TRPG クトゥルフ2010 (ログインテーブルトークRPGシリーズ)

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